<2006年2月 夜咄の茶事>

迎え付けが終って、手燭を床に置きます。
軸は「龍起一潭氷」深い淵に潜んでいた龍が
春を待ち氷を割って現われる一瞬
をとらえた壮絶な景色。
利休の侘びはこのように力強いものだと思います。

短ケイのわずかな灯りで、前茶を。
寒い季節、 まずは暖かいお茶で
暖をとってもらいたいとの亭主の気持ちです。

蝋燭のほのかな灯りの中で見る
赤くいこった炭の美しさは格別です。

煮物椀は利休卵。
利休が好んで懐石に使っていた
という胡麻の入った卵豆腐。
古酒を使っています。

強肴は鍋仕立てにした
大根と豚のべっこう煮。
夜咄なので、懐石も少しラフに。
正午の茶事より格を落とすところに面白みがあります。

膳燭の芯を切るのが
懐石の醍醐味だったりする。

夜のことですから、お酒も進みます。
お酒が好きな方には、石杯と預け徳利をお出しします。

主菓子は「雪間の草」という銘をつけました。

茶事のクライマックス
濃茶が練りあがりました。

干菓子は、すり蜜のボタン雪と金柑の砂糖漬けを
ざっくりと盛り合わせました。

ちょっと大きめの水指の蓋のつまみは可愛い梟。
能登の江崎満さんの作です。

 

時代の海上り安南の小壷を茶入に。
茶杓はかい先にひびが入ったものを金継した、銘「再来」。
棗は夜咄のために私がデザインして
池之浦大起先生に作っていただいた、雪華蒔絵平棗です。

立春をすぎ、暦の上ではもう春ですが、一年で一番寒い厳寒ころ、ほっこり暖かいお茶が、心を満たしてくれます。
寒い時期のお茶はまた格別の楽しみ、喜びがあります。
こもり居しながらじっと春の訪れを待つ、利休の侘びの心そのままのお茶を楽しみましょう。